イチョウ並木で有名な神宮外苑。
そんな都会のまん真ん中で、毎年恒例24時間チャレンジが先週末、開催されました。
12/19 11:00 ~ 12/20 11:00 神宮外苑24時間チャレンジ2015
12/19 11:00 ~ 12/20 11:00 神宮外苑24時間チャレンジ2015を観戦、応援してきました。
関係者の間では神宮ぐるぐるの愛称で親しまれているこの大会。
毎年日本中から日本代表を目指すウルトラランナー約100名が集い、
このちっぽけな絵画館周りのコース↓をぐるぐる反時計回りに24時間走り続け日本代表の座をかけて競い合います。
気分はさながらカゴのなかのハムスターです。
日本代表選考を兼ねた大きなレースですが、フルマラソンのように、コース整備がされるわけでもなく、警備がつくわけでもないです。
エイドが1箇所たつのと、数100mおきに走路員がつきますが全て愛好者、OBOGなどによるボランティア。
一応パイロンでレースコースは緩く区画されますが、その区画に強制力はなく、普通にコース上でランナーと一般利用者は交錯します。
もちろん競技者の方が迷惑かけてごめんなさい、といった感じです。
車道はもちろん通行禁止になんかできないので、歩道のみ。
写真左側のランナーがいるところの半分がパイロンで区切られレースコースになります。
皇居ランさながらの走りにくさですが、それでも頑張って走っています。
24時間でどのくらい走るの?
近年、マラソンブームからキロ4、キロ5などの言葉は一般社会に大分浸透してきました。
24時間走のトップ選手はだいたいキロ5より少し早いくらいのペースで最初から最後までほとんどペースを落とすことなく走り切ります。フルマラソンで行くと3h30mくらいのペースでずっと走っています。
これにエイドでのご飯、ドリンク、休憩のロスタイムが加わってきます。
時間が経つにつれ、このロスタイムが長くなっていくのが、常です。
優勝者でだいたい25okm程度走ります。今回も250km強でした。この距離はだいたい東京から浜松にあたります。
郵便を送るより走って持って行った方が早い距離はこのくらいまでです。
どんな人が出場しているの?
現状、特に出場に関する条件はありません。99%が純粋なアマチュアランナーです。
しかし参加者の90%くらいが、どこかのウルトラマラソンの大会の入賞者です。
そもそも競技人口が少なく、知り合いの知り合いは知り合い状態の極小コミュニティ、すぐにウルトラマラソン界の著名人とお近づきになれる魅力があります。
職業的には、ある程度安定していて、時間が取れる仕事。具体的には自営業、医者、消防士、地方公務員が多い印象です。
練習に時間が必要なこと、一般的な面白みが少ないこと、見栄えがしないことなどが理由だとは思うのですが、40〜50代男性が中心です。20代は全体の5%程度。またさらに20代女性は、そのさらに5%程度だと思います。
事実、今大会100人超の参加者のうち20代は10人に満たないです。
永遠に若手と読んでもらえ、ちやほやしてもらえます。
24時間走るとどうなるの?
多分、想像通りだと思います。
疲れるし、足は痛いし、身体は重い。当然、豆ができることもあれば、筋肉がつることもあります。
さらには脱水、嘔吐などありとあらゆる苦しい状態が訪れることもしばしばです。
骨折、関節痛などはあまり見かけないので命にべつじょうはありません。
想像を超えて辛いのが内臓です。
もちろん飲食しないと走れないのですが、その量が尋常ではありません。
1km走るごとに体重分のカロリーくらい消費すると考えると、50kgの人が200km走ると10,000kcal必要(比例的に上がっていくと仮定しても最低限)です。
暴飲暴食しなければとてもこんなカロリーは摂取できません。
加えて常に身体が運動状態で内臓に負荷がかかっているため、内臓は荒れに荒れます。
レース序盤はおにぎり、バナナなどの固形物、スポーツドリンクが飲めていたのが、
12時間くらい過ぎると、おかゆ、うどん、薄めたドリンク、炭酸ジュースなどになります。
最後には流動食、さゆあたりが食べられるくらいでしょうか。
ただしレース後の復帰は想像より早く、おそらくみなさん数日で社会生活に復帰、1週間以内にはトレーニング再開していると思います。
序盤から流動食を取りつつ、胃腸ケア&カロリー確保をする姿が今大会の印象的な補給方法でした。
補給方法にも時代とともにはやりすたりがあります。
無制限に飲み物、食べ物の差し入れがもらえるし、太ることを気にする必要もありません。
24時間走は24時間耐久飲み食いゲームでもあります。食べられればですが。
何が楽しいの?
本題です。
変なことをしている自分へのナルシズム、限界まで走ることの達成感、仲間との密なつながり、身体の極限状態を疑似体験できること、健康維持?といったところでしょう。
理由はわからないですが、参加者は一様に楽しそうな顔をしています。
個人的にはウルトラマラソンの大きな魅力はプロ化が完全には進んでいないところにあると思います。
日本代表戦といえど、参加者の99%はアマチュアランナーです。
賞金もほぼ0のため、別のことで生活の糧を得る必要があり、いかに練習時間を工面するかが重要です。
トレーニング方法や補給方法なども、完成した理論はありません。
努力と工夫次第で、誰にでも勝てるチャンスが転がっています。
この暗中模索、実験的なところが面白いと思っています。
もちろんこの大会で上位に入ってくるランナーは血の滲むような努力を重ねています。
1ヶ月多い時には1,000kmに迫る走り込みをしていますし、そのための時間をどうにかこうにか工面しています。
また食事、身体のケアにも気を払っています。
ただし、その努力の方向は必ずしも正しいとは限らない。
ひょっとしたら1,000kmは人の身体の限界を超えているのかもしれない。
ストレッチもやらない方がいいのかもしれない。
だからこそ、これから始めても、他者と比べて大きく抜きん出られる可能性がある。
そんな競技他にないですよ。ワクワクしませんか?
2013年の世界大会にサポートスタッフとして参加しました。
そのときのワクワクを書いた手記です→2013_24h WC_Steenbergen Holland.
まとめ
24時間走は上記のようにちょっと話を聞くだけでも、とても面白い種目。
いくつかあるレースのなかでも神宮外苑24時間はレベルも高い上、アクセスも非常によく観戦しやすい。
あなたも一緒に、まずは観戦からいかがですか?
P.S.
新天地(愛知、豊橋)周辺でランニング仲間を募集中です。
連絡もらえれば、一緒に走りに行きます。
一緒に弓張山系、三河湾を走り抜けましょう!!